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吉ヶ平自然環境調査 2019.06.29 Yoshigahira Natural Environment Survey [しただ郷自然くらぶ]

6月29日

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これは1年前の星空観察の様子です。星空専門家をお招きして大好評でした。

今年もも同じく今晩「星空とホタルの夕べ」イベントを吉ヶ平で企画していました。しかし、午後から大雨が予報されていてやむなく中止といたしました。期待されていた方々にお詫び申し上げます。

吉ヶ平自然環境調査

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午前中は曇り予報でしたので、「吉ヶ平自然環境調査」は敢行いたしました。

a ゲートから進入路エリア
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吉ヶ平へ通じるゲート前に集まり出発します。
新潟で大活躍の植物研究家の柳田宏光先生にお越しいただき本格的な調査を行うことが出来ました。県内外の植物を求めて歩き回られ、現場をよく知る研究家です。今回私たちは先生の熱気に影響されて植物世界の魅力に目を見開かれました。

微に入り細に入りの解説も現物でご説明いただきわかりやすいものでした。ゲートを入りすぐにヤマクルマバナを見つけて(左下)、クルマバナ(右下)との相違点を示してくださいます。

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ケンポナシ(上下)が花盛りです。

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羽化したてのアキアカネがいます。(左上)これから体力をつけて夏の避暑へと更に高い山に向かうことでしょう!
右上はヤマトキホコリ(アオミズと呼ばれている)とウワバミソウ(ミズ)の見分け方です。上のヤマトキホコリの茎は真っ直ぐなのに対し、下のウワバミソウは葉の付け根で稲妻状に曲がっています。
チマキザサの花です。(下)最近県内でササの開花がよく見られるとのことです。

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クロサンショウウオの幼生(左上)が見られるような水の流れ込みに、興味あるイネ科植物を発見されました。ここでは種名まではわかりませんでしたが、標本を持ち帰られて後日オニノガリヤスという珍しいものだと判明されたようです。このような地味な植物にどうして気づくことが出来るのか?素人には見えないモノが見えるのでしょうね。

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ヤブタビラコ(左下)、ウマノミツバ(左2)、ミズタビラコ(左3、左下)、ヌカボ(右)と次々採って示してくださいます。ミズタビラコは花1つに4つの三角錐の分果をつけます。

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この時期右の斜面はコシジシモツケソウの花盛りです。シモツケソウの日本海型です。

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根を染料にするアカネ(上)、実をたくさんつけたサワシバ(左下)、ニワトコの赤い実(中下)、ホソバノヨツバムグラ(右下)

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左上は薬用のキハダ、下は灯明の油が実から採れるケアブラチャンです。
右の2点は大型で樹上性もあるミスジマイマイかと思ったのですが分布域が違い、クロイワマイマイと思われます。

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上はヤマブキショウマです。ヤマブキショウマとトリアシショウマは右の崖にずっと見られました。サラシナショウマは1箇所で見られました。

左下のイワガラミとよく似たツルアジサイは、イワガラミの萼片1枚、ツルアジサイの4枚で見分けられます。下2番目鮮やかな青色のエゾアジサイは木本、下3番目のクサアジサイは草本です。右下のテツカエデは葉の形でウリハダカエデと見分け方ます。

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パラフィンをふいて白くなっている右下のマタタビ以外は、コクワです。コクワの茎は中空です。マタタビの茎には白い髄が詰まっていて、ミヤママタタビの茎は髄ではなくて薄い隔壁が張っています。ミヤママタタビの葉は白化するだけでなくピンク色も帯びます。


観察メモ(観察順、メモのまま)
タヌキ、ノビル、ヒメアカタテハ、ミズタビラコ、キアゲハ
、カモジグサ、二ガナ(花弁5〜6枚)、ヤマクルマバナ、ウワバミソウ(ウワバミソウは茎が稲妻状でヤマトキホコリは茎が真っ直ぐ)、イッポンワラビ(下田でイッポンコゴミ)、ヒヨドリバナ、アキカラマツ、アオソ(カラムシ)、ケンポナシ(拍子木の材になる) 、ナンブアザミ、ヤマトキホコリ(下田でアオミズ)、クジャクシダ、コシジシモツケ(実に毛有る)、アカネ、イケマ(生馬 猛毒)、ヤマブキショウマ、ボタンヅル、アブラチャン(ケアブラチャン)、トリアシショウマ、ヤマトキホコリ、イワガネゼンマイ、コシノチャルメルソウ、ヘビノネゴザ、サラシナショウマ、ハクウンボク、クロサンショウウオ幼生、オニノガリヤス、ホソバカンスゲ、サカゲイノデ、ケキブシ、ミヤマガマズミ、ミヤマベニシダ、コウヤワラビ、ヤマカガシ、アキアカネ(トンボ)、チマキザサの花、セリ、シラネセンキュウ、クルマバナ(ヤマクルマバナより赤く大きい花)、オカトラノオ、アオイスミレ、クサアジサイ、ノガリヤス、ヨツバヒヨドリ、オオバギボウシ、トウホクダイモンジソウ、イヌガンソク、ハクウンボク、サトメシダ、クサアジサイ、ミズタビラコ、ヌカボ、ヤマヨモギ(オオオモギ)、ヨモギ、エゾアジサイ、ヤマソテツ、サカゲイノデシダ、アズマナルコ、ウマノミツバ(毒)、イガホオズキ、キクバドコロ(葉の付け根が紫色) 、オニドコロ(ツルツル)、ウチワドコロ(毛)、コシジシモツケ、ツルアジサイ、ノブキ、ケキツネノボタン、シラネセンキュウ、ホソバシケシダ、イワガネソウ、コウライテンナンショウ(マムシグサ) 、オオヤマサギソウ、サワシバ、アキノウナギツカミ、スズメウリ、クルマバナ、カンガレイ(株立ちする)、クログワイ、ヘラバオモダカ、エゾタチカタバミ(日本の固有種)、ニワトコ(赤い実)、ユキツバキ、ホソバノヨツバムグラ、ヒメゴウソ、ゴウソ、アカネ、イワガネゼンマイ、キハダ、ドジョウツナギ、ウツボグサ、ツリフネソウ、ヤマブキショウマ、イワガラミ、ミヤマベニシダ、ミズタビラコ、ヤブタビラコ(キク科)、テツカエデ、コクワ(コクワの茎は中空、マタタビは白い髄、ミヤママタタビは白い隔膜)、クロイワマイマイ、サワシバ、ダイコンソウ、コタニワタリ、アオダイショウ、クルマバナ、コタニワタリ、オヒョウ


c 吉ヶ平山荘エリア 1
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ヤチダモです。湿地に生える木です。アオダモとともに野球バットに適した材木です。

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右上はヒラタクワガタのメスです。右下はアサマシジミです。

左はムッソリーニポプラ(キョダイポプラ)です。柳田先生にこの大木が何かを伺うと、たちどころに、以下の話をされます。
「第二次世界大戦中、連合国に封鎖されたイタリアは木材不足に悩んだ末、成長の 早いポプラに目をつけてこれを育成し、このムッソリーニポプラと呼ばれる品種を改良 しました。これは後にさらに改良され、イタリアポプラとして戦後やはり木材不足だった日本にも移入されています。盛んに日本じゅうで植えられた時期がありました。」ということです。更に、柳田先生のお父様もこのムッソリーニポプラの苗を畑で育てたことがあったそうです。それを見て欲しがる人が多くいて全部他人に分けてあげてしまったそうです。結局自分では育てることは出来なかったそうです。そんな人のいいお父様のお話まで聞かせてくださいました。
今はただの野っ原になっているこの辺りですが、かつての吉ヶ平集落の一部です。戦後日本のこのような歴史があり、その証としてこの大木として残っているんです。

と、言った具合で柳田先生のふくみの深い植物話を聞かせていただきながら、いい調査が出来ました。
ひたすら歩けば1.5〜2時間のところ、多くの発見があり3時間以上かかりました。
ゲート出発から暫く晴れ間もあったのですが、吉ヶ平山荘に着き食事や一休みしていると雨になりました。大池辺りにも行ければと思っていたのですが調査は山荘で終わります。

観察メモ(観察順、メモのまま)
ヤチダモ、オオウバユリ、ヒラタクワガタのメス、ムッソリーニポプラ(巨大ポプラ)、アサマシジミ、ノハラムラサキ



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