暗くて怖い物語

暗い写真なんて

森に遅い春が来た。でも鳥や虫の声は聞こえない。村から子供たちの声も消えた。そう！原子炉が爆発したあの日から、放射能を含む霧が漂い、夕日も見たことのない不吉な色になってしまった。欲望にまけて無理やり原発の危険に目をつぶってきた私たちは、地球上の命を消滅させてしまったのだ。

長いこと写真の商売をしてきて、暗い写真なんて売れたことが無かったです。まして、教科書なんて「清く、正しく、美しく」、景色はどの写真も晴天で暗いことは極力避けてつくられています。世の中明るいことばかりじゃないんだけどね。そんなウソに慣らされて暗いことに目をつぶってるから、原発の安全神話だまされるわけですよ。このごろは「地球温暖化対策には原発を！」なんて言い出す始末で困ったもんです。
私も、商売を離れたことだし、これからは嘘つき写真ばかりじゃなくて暗くても何かを訴えかける作品も撮りたいものです。

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